ドラエモン最終話8



小池さんは古代中国に吹き飛んだ。 そこにはラーメンが無かったので、小池さんは我慢できず、自分でラーメンを作った。 なんと、ラーメンの発明者は小池さんだったのだ。 この後小池さんは中華料理の大家として名を馳せるのだが、それはまた別の話。
ピー助は奇跡的にもとの世界に帰れた。よかったね。 その後恐竜界の帝王となるのだが、それはまた別の話。
ジャイ子は14世紀のフランスに飛んだ。 そこで、天から降りてきた乙女として、フランス革命戦争に参加した。 彼女は自分の名を『ジャイ子』と言ったのだが、フランス人には発音しにくかったらしく、 どこかで『ジャンヌ』と歪んで伝わった。 …というわけで彼女はジャンヌ・ダルクになったのだが、それはまた別の話。
遂にマザーコンピュータと対峙するノビール一行。 もうほとんどのびたは虫の息だ。 マザーコンピュータにマシンガンを向けるノビール。
その時。
マザーの中枢部分が開いた。そこには、なんとしずかちゃんが!! その時、ノビールは全てを思い出した。 しずかちゃんを殺したのは、のびたの作ったロボットだったのだ。
理工学博士になったのびたは北欧独立戦争で人々が死んでいく事に深い悲しみを感じ、 機械兵士を作ろうとした。そして、そのプロトタイプ第一号が暴走し、そばにいたしずかちゃんを殺した。 狂気にとりつかれたのびたは、しずかちゃんの記憶を持ったロボットを作ろうとした。
そしてできたのがマザーコンピュータだった。 そうだ、そして彼が作った第一号の戦闘機械兵士こそ。 もともと戦争を終わらせようとして作った平和の色、青。 過度な残虐性を持たせぬ為にデザインした、球体。 どんな武器だろうと装備できるような、自由変形物質製の手。 彼が幼い頃にみた、あの親友の姿。 そう、目の前にいるドラえもんであった。
ノビールは全てを思い出したのだ。
そして、目の前にいるしずかちゃんは現代でドラえもん5人衆が吹っ飛んだときの時震で時空を超え、 姿は違えど同じ魂を持つマザーに引き寄せられ、 一体化してしまった現代のしずかちゃんだという事を知った。 もともと、ドラえもんが現代で幼いのびたにであった事が、 このタイムパラドックスの渦の原因であったのだ。
このまま、こんな悲惨な歴史を繰り返すわけには行かない。 ノビールは決意した。 この世界を消す事で、歴史の流れを正常に戻そうと。
そして、ノビールはマザーに銃を向け、自分の歪んだ愛情の結晶を破壊する。 マザーの干渉が消え、タイムマシンが動くようになった。 機械帝国は壊滅していく。 そこかしこで起こる爆発。 しかし、まだ一つ残っていた。 ドラえもんが。
ノビールは、ドラえもんに銃を向ける。 ドラえもんは、全てを知っていた。そして、理解していた。 最後にドラえもんは、そっとのびたの顔に手を当てる。
『未来は、運命は自分の手で掴むものなんだ』
と、その眼が語っている。 のびたとスネオをのせたタイムマシンが、現代に向けて飛び立つ。 二発の銃声が響き…。
現代。
何事も無かったかのように日常がまた続いている。 ドラえもんは当然、現実の社会にはいない。 死んだ筈のジャイアンや出来杉も、普通の生活を送っている。 のびたは、奇跡的に命をとりとめ。 しかし、ドラえもんそのものの記憶をうしなっていた。
だが、なんの不都合も無い。 もともとドラえもんなんていない世界なのだ。 病院で眼を覚ましたのびたの手には、金色の鈴が握られていた。 のびたは、その鈴がなんなのか、思い出す事はその後二度と無かった。
決して、思い出す事は。
時の旅人として一人、スネオは全てを知っている人間として残された。 なぜか、元の世界には別のスネオがいたためだ。 一人だけ記憶の残っているスネオに、「時」という偉大な力が干渉した為であろうか。 スネオはタイムマシンを降り、破壊する。
そこは、昭和初期の日本。 そこでスネオは、モトオという友人と知り合う。 スネオは当然全てを話しはしない。 ただ、ときどき面白おかしく元いた世界の話をするのみ。 二人はいつしか、その世界をマンガにし始めた。
忘れはしない、あの頃の友人達。 勇敢に戦い、勇敢に死んでいったジャイアン。 いつもやさしかったしずかちゃん。 いじめられてはいたけれど、たまに真の強さを発揮したのびた。 そして、不思議で悲しい運命を背負った猫型ロボット、ドラえもん。
忘れる筈はない。 彼のペンは、いきいきと昔の友人達をつづった事だった。 そして、時は経ち、二人は青年になり、漫画家になった。

そのペンネームは・・・。

おしまい・・・


←戻る 次へ→
top
無料ホームページ出会いブログ