ドラエモン最終話8



そのころ冥凰島では、出来杉がバラえもんに刺し殺されていた。
中央管制塔には機械獣たちが集結していた。あまりの猛攻に、のびた達は一時撤退する。 ノビールは、敵の手際のよさを怪しみ、ドラえもんを疑う。 彼から見ればドラえもんも憎き機械帝国の一部に過ぎないのだ。 皆の制止を振り切って、ノビールはドラえもんを破壊しようとする。あえて抵抗しないドラえもん。 だが、ドラえもんを刺し殺そうとしたノビールのジャックナイフの前に、のびたが立ちふさがる。
ナイフはのびたの胸に突き刺さった。
「だめだよ…ドラえもんは僕たちの為に苦しんでるんだ…」
昔の自分の姿に真の勇気を見るノビール。このままではのびたが死に、 同時にこの未来世界そのものが消滅する。 この世界では四次元ポケットが使えない上に、タイムマシンもマザーの干渉を受け停止している。
一刻も早くマザーを倒すしかない。 だが、ノビールは放心状態であった。
そのころ冥凰島では、小池さんがコーラえもんをラーメン責めにしていた。
マザーのあるセントラルタワーへの道は、最強の敵達によって埋め尽くされていた。 マザーの命令電波を受けて動く、むしロボットの軍隊である。
途中の戦闘で、ジャイアンは両足に重傷を負う。 ノビールの仲間達、『白の同盟』の戦士達も次々に死んで行く。 スネオは恐怖し、泣き叫ぶ。
「もう帰ろうよジャイアン!!本当に死んじゃうよ!!」
しかし、剛田武はそんなスネオを殴る。 のびたが、ドラえもんが必死に戦っているのに、俺達はなにもできないというのか、と。
スネオはまだ俯いているばかりだ。 そしてジャイアンは高らかに歌う。皆を勇気づける為に。
『ホゲ?』
その時。奇跡だろうか、むしロボット達の動きが止まった。 驚くのびた一行。 ジャイアンの歌声とマザーコンピュータの電磁波が共鳴しむしロボットへの命令系統が一瞬麻痺したのだ。 ある程度の時間ならこの大群を足止めできるかもしれない…。
突然、ジャイアンが皆をドアの向こうに突き飛ばす。 ドアは堅く閉ざされた。
『みんな先に行けッ』
ジャイアンは皆を先に進ませる為みずから捨て石となるつもりであった。
『ジャイアン!!』
みなドアにすがる。ドアの向こうからは、いつものジャイアンの 『ホゲ?ホゲ??ホゲ???!!』という必死の歌声が響く。 それは、まるでワーグナーのシンフォニーの如く。 動きを止めている虫たちも、まるでそれに聞き入っているかのようだ。 喉から血をだしながら、剛は歌いつづけた…。
『みんな行こう!!僕らがいつまでもここにいたら、 ジャイアンが何の為にあそこで頑張ってるのかわからないよ!!』
声を上げたのは、泣いていたスネオだった。 皆、涙をこらえ、エレベーターに向かう。 エレベーターは動き出した。 背後で、歌声が止まった。
ジャイアンは、一瞬ののち、細切れの肉片と化した。
そのころ冥凰島では、バギーちゃん(二代目)がアシュラえもんに解体されていた。
ノビールは苦悩していた。 自分は、のびたなのである。 今、幼い頃の自分が死にかけている。 そして、親友であったというジャイアンは死んだ。 過去が、すさまじい勢いで回天している。この未来世界自体の存在も歪み始めている筈だ。
だが、自分がここにいるという事は、幼いのびたは死なないという事だろうか。 このタイム・パラドックスの渦の終末はどこなのだろうか。 自分の失われた記憶に何があるのだろうか。 4人をのせたエレベーターは最上階につこうとしていた。
その頃冥凰島では、決戦が佳境に入っていた。
『ぴー』
『シャアー』
蛇が恐竜にかなうわけが無い。 ピー助がキングコブラえもんを飲み込み、これで2?2。 勝負の行方はマックスマーラえもんとジャイ子との戦いに持ち越された。
しかし女らしさと無縁であるジャイ子にマックスマーラえもんの洋服攻撃も通用しない。 まるで兄が乗り移ったかのような豪快な一撃で、マックスマーラえもんは吹き飛んだ。
勝負は、3?2でドラえもん復活キャラチームの勝利に終わった。
しかし、勝負に負けると自動的に爆発を起こすような仕掛けがドラえもん5人衆には仕掛けられていた。 現代の水爆の1兆倍の質量を持つ爆弾が、5個同時に誘爆する。
冥凰島のあるインド山中 (彼らはその位置を知らされていない。謎のヘリコプタ―に乗せられてここに来た) を中心にユーラシア大陸が吹き飛んだ。
冥凰島はもちろん吹き飛んだ。 と、同時に空間に歪みが生じ、『時震』が起こった。
ドラえもんチームはそれぞれ、さまざまな時代に吹き飛ばされてしまったのである。

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