ドラエモン最終話8



いつもの生活が続いている野比家。ママは怒りのびたは宿題をやらずに遊んでばかりいる。 ドラえもんはそんな生活をほほえましげに見つめていた。と、突然通信機に連絡が入る。
相手は未来世界の全能統括者、マザーコンピュータその連絡で、ドラえもんは本来の自分の使命を思い出す。 実はドラえもんが来た未来社会は機械帝国が支配する世界で、人間達は虐げられ、 レジスタンス活動を続けていた。そして、そのレジスタンス団『白の同盟』のリ―ダー、『修羅のノビール』 こと片目の戦士ノビール・チギレールこそ、誰あろう野比のびたの成長した姿であった。
理工学博士でもあるノビール率いるレジスタンス軍団は機械帝国の心臓部であるマザーのハッキングを始めており、 このままでは機械帝国の敗北は目に見えていた。このままでは機械帝国が危ない、 と判断したマザーは、タイムマシンを使い現代にあるロボットを送り込む。
そう、それがドラえもんであったのだ。 のびたことノビールは15才より北欧独立戦争に参加し同時に機械工学の博士号を取る。 それは、幼少の頃から運動神経・頭脳ともに人並み以下という環境の中で、 彼がコンプレックスを克服すべく必死で努力を続けた結果であった。 マザーはのびたを亡き者にしようとしたが、それはできなかった。 なぜならマザーの基礎理論を作り上げたのもノビールであり、 のびたの存在が消えるという事はそのまま機械帝国の消滅を意味するからだ。
そこでマザーは一計を案じた。のびたの頭脳はその素養のまま成長させ、 その心に培われる筈の『反抗心・独立心』というものだけを削り取る作戦を。
そして、便利な道具を持った夢のロボット、ドラえもんが小学生ののびたの前に現れた。 彼がのびたの夢をかなえてやると同時に、どんどんのびたの反抗心はなくなっていった。 (ただし馬鹿になっては困るので『しゅくだいやれ』と言い続けていた事は周知の事実)
しかし、段々とドラえもんはのびたの事が好きになり始めていた。 否、人間の事を好きになり始めたというのが適切だろうか。
のびたはひみつ道具を使って様々な失敗をしたが、その度に少しづつ成長しているのがドラえもんは 『嬉しい』と感じたのだ。それは、けして自らの血族を持つ事無い機械の彼が、 初めて感じた肉親の情だったのかもしれない。
マザーからの通信は、のびた堕落化計画の打ち切りの通告だった。 その代わり、別の時代で独自の理論を別の研究者に開発させる為、 もう用済みののびた=ノビールを抹殺し、未来世界に帰還せよとの指令が届いた。
苦悩するドラえもん。 のびたは元気の無いドラえもんを元気付けようと色々な努力をする。 その全てがドラえもんにとってはいじらしくてしかたない。 つい涙を流すドラえもん。 ドラえもんは、のびたに全てを話すのだった。 話し終えたドラえもんに、のびたは笑ってみせる。 ドラえもんは僕の大事な友達だ、そのドラえもんがそんなに苦しんでいるのなら、 とドラえもんに背中を向けるのびた。 なんということか、のびたはいつの間にか友の為自らの命も惜しまない真の男に成長していた。
ドラえもんは再び滂沱の涙をながし、未来世界との通信機を自ら破壊するのだった。
第一の部下であるドラえもんの裏切りに、22世紀のマザーは激怒した。 そして、最強の刺客、ドラえもん5人集を送り込む。
1.バラえもん・フランス貴族のサーベル剣術を使うちょび髭の剣士。
2.コーラえもん・黒い。
3.アシュラえもん・手が8本ある。顔は3つある。
4.キングコブラえもん・へび。寒さが弱点。
5.マックスマーラえもん・化粧が得意。
最強の5人集を相手に、ドラえもんとのびた、仲間達の最後の戦いが始まった!!
しずかちゃんを人質に取られたドラえもんと仲間達は、遂に最終決戦地である冥凰島に辿り着く。 一対一の試合形式で5人集と闘うのだ。
第一試合 バラえもんvs出来杉
第二試合 コーラえもんvs小池さん
第三試合 アシュラえもんvsバギーちゃん(2代目)
第四試合 キングコブラえもんvsピー助
第五試合 マックスマーラえもんvsジャイ子
このメンツ構成の中にいつものメンバーがいない。 そう、ドラえもんとのびた率いる一軍(ジャイアン・スネオ)は、この隙に未来世界に乗り込み、 マザーコンピュータを破壊すべく、ノビール=未来ののびたと協力し、中央指令塔に潜入していた。
ノビールは歴戦の勇者であった。だが、少し精神に異常をきたしていた。 目の前で恋人(=しずかちゃん)を殺された為に、 機械帝国に対して異常な憎しみを抱くようになったのだ。 同時に、彼はレジスタンスになる前の記憶を全て無くしていたのだ。
『死ね!死ね!虫どもめッ!虫ィィィィィィッッ!!』
彼の中にあるのは憎しみの記憶だけであった。マシンガンで機械帝国のむしがたロボットを破壊するノビール。 そんな彼をみてのびたは、それが未来の自分の姿である事にショックを受ける。 自分の中にもあのような凶暴な血が流れているのか、と。 そんなのびたにドラえもんはそっと告げる。
未来を決めるのは君のチカラなんだ、自分の中のチカラを信じる事ができれば、 運命なんて簡単に変わるんだよ、と。

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