ドラエモン最終話9



のび太は部屋で寝そべっていました。 漫画を読むことも無く、ただ天井をじっと見つめていました。 暇なわけではありません。 宿題だってたくさんあるし、ジャイアンに野球に誘われたけれども断りました。
ドラえもんがいない・・・。
朝起きると、押入れの扉は開いたままで、中にドラえもんはいませんでした。 朝から何も言わずに出て行くなんておかしい。 疑問を抱えながらもとりあえず学校に行き、 学校が終わると急いで家に帰ってきました。 しかしドラえもんはいません。
何かあったに違いない・・・。 そう思ってのび太はずっと部屋で待っているのでした。
その時・・・。
「ガタガタッ。」
机の扉が開きました。
「ドラえもん!」
しかし出てきたのはへんてこな、しかしどこか見たことのあるような格好をした2人の男でした。
「君、ここにCTR13ー2wはいなかったか?」
「隠したって無駄だぞ!」
いきなりまくしたてられても、のび太にはさっぱり意味がわかりません。
「わっ、わかりません」
のび太が答えるとその男達は目を合わせて
「どうやらこの子は何も知らないな」
「でもこの時代にいるのは確かだ」
そう言って2人の男は机の中に戻っていきました。 のび太がわけもわからずに立ちすくんでいると、また机が開き、今度はドラえもんがでてきました。
「ドラえもん!!!」
のび太はドラえもんに向かって飛んでいきました。
「どこに行ってたんだよ。心配したんだぞ!」
「ごめんよのび太君。未来のほうにちょっと用事があって・・・。」
ドラえもんは別に普段と変わらぬ、やさしい表情で言いました。
「あと聞いてくれよドラえもん。さっき机から変な格好をした2人組みが来て、 CTRがどうのこうのって言って、またすぐ机に戻って行っちゃったんだけど・・・。」
その時ドラえもんの表情は急に変わりました。鈍感なのび太にもわかるくらいに。
「なんか知ってるの?ドラえもん。」
「のび太君・・・。その人たちはどんな格好だった?」
「う~ん・・・。よくわからないけど、でもどっかで見たことあるような・・・。」
ドラえもんはしばらく黙っていましたが、突然、何か決心したような、 しかしどことなく寂しいような目でのび太を見つめて言いました。
「話があるんだ。」
のび太は耳を疑いました。 いきなり「話がある」と言われたので、ある程度の心の準備はしていました。 しかしドラえもんの口から出てきた言葉は予想をはるかに越えました。
「僕は今、指名手配されているんだ・・・。」
のび太は最初冗談だと思いました。 しかしドラえもんの表情は真剣で、決して冗談を言うような顔ではありませんでした。 のび太は何も言えませんでした。
いや、聞かなければいけないことは沢山あるのに、驚きのあまり何も浮ばないのです。 しばらく沈黙が続いた後、のび太はやっと口を開きました。
「何で・・・?」
ドラえもんは何も言いませんでした。しかししばらくしてから語り始めました。
ドラえもんの飼い主セワシ君は、顔を紅潮させ、学校から家への道を走っていた。 長い間海外に出張に行っていたセワシ君のお父さんが帰ってくるのだ。 お父さんといっても、セワシ君はほとんど記憶に無い。 彼が幼いころから、お父さんはもう海外に行ってしまっていた。
そのお父さんに会える!
一瞬の出来事だった。
信号無視のトラックがセワシ君にぶつかった。 セワシ君は5メートルくらい跳ね飛ばされ、ガードレールに頭を強くぶつけて意識を失った。 病院に運ばれたものの、意識は依然として戻らない。 むしろ体はどんどんと衰弱しているようだった。 お父さんには今急いでこちらに向かっている。
こんなひどい話があるか! ドラえもんは心の中で叫んだ。
衰弱していくセワシ君の前で、何もできないドラえもん。 いや、何とかする方法はいくらだってある。 秘密道具を使えばいいのだ。

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